適切なコンベアベルト材質の選択
意思決定の前に考慮すべき3つのポイント
- 洞察
- November 5, 2021
原料ではどのベルト材質も同じに見えるかもしれませんが、完全に異なる組成である可能性があります。上図は、ベルト製造前のプラスチックペレットです。
これは、工場の生産性を左右する重要な選択の中でも決定的なものです。
真剣に言って、ある特定の領域にどのベルト材質を使用すべきか厳しい目で検討することなく、工場のコンベアを効果的に最適化できる食品メーカーなどどこにもありません。
はっきりおっしゃってください。ベルトが適切に動作してくれてベルトのことを気に掛ける必要がなければそれでよいと思っているのではありませんか?
選択が不適切であると、ベルトが破損したり、予定外ダウンタイム、歩留まりの低下、コストの上昇、材質の劣化、異物による汚染などが生じる可能性があります。
これらの一部または全部を防ぐため、食品加工業者と装置メーカーはベルト材質を賢く選択する必要があります。どうすればよいのでしょう?それを知るために、食品事業ユーザー向けのベルト材質の開発と試験と推奨を行っている専門家に聞いてみました。
適切なコンベアベルト材質を選択するための重要なポイントは何ですか?
用途
ベルトは過酷な使用状況に耐える必要がありますか?フライから冷凍にまで及ぶ、温度についてはどうですか?ベルトはディップタンクに浸かりますか?
具体的な用途を確認して、処理ラインのそのポイントでベルトが何を載せるか決定します。そうすることで、どの材質が最適かについての多くの重要な質問に対する回答に役立ちます。
適切なベルト材質により、塩やシーズニングなどの摩耗にも耐えます。上図は、A23材質のThermoDrive上昇コンベアベルトです。
「たとえばジャガイモ加工工場というのは、用途の細部に目を向けることが重要である独特な環境なのです」とイントラロックスのThermoDriveメカニカルエンジニアのDrew Downerは述べています。
砂や汚れが付着したまま、原料が外部から工場に持ち込まれることもあります。ピーラーから出 てきたジャガイモからはでんぷんが出てきます。製品は、沸騰した油のタンクを通過して、最終的にそれにシーズニングとスパイスをまぶすこともあります。用途ごとに、温度も、物理的・化学的考慮事項も異なります。
「選択するベルト材質は、それぞれの用途に伴う強い影響に耐えられるようにカスタマイズする必要があります」とDownerは語ります。自社の工場で、他の領域とは異なるこの特定の用途がユニークな点とは何なのか、と考えてみてください。
イントラロックスチームのひとことアドバイス: 使用するまでベルトを保管する場合は、日光が当たらないようにしてください。多くの材質は、紫外線に長期間耐えることができずに劣化が始まります。
環境
場合によっては、答えは明らかです。(可燃性であることがわかっているベルトは高温の物体の近くに置かないでください!) オーブン以外にも、食品工場の中には注意すべき環境的要素がいろいろと存在します。
「実際にベルトが使用される環境によって、どの材質なら使用可能か決まります」とイントラロックスの材質スペシャリストのStephen O’Connorは述べています。「私は次のように問うことから始めます。このベルトは温度に関してはどうなるのだろうか?化学的性質はどうだろうか?機械的強度など、それ以外の要求事項と仕様は何か?湿度によってベルト材質 が膨張する可能性はないだろうか?」
最終的な目標は、長続きして信頼性が高く、食品に安全な稼働時間です。これが、イントラロックスがベルト材質と、その選択、開発、現場への導入によって達成しようとしているもので す。
Drew Downer
イントラロックスのメカニカルエンジニア
洗浄液がベルトに与える影響についても考えてみてください。夜間にベルトを殺菌する必要のある食肉や鶏肉、水産物の、処理工場があるとしましょう。衛生チームはずっと同じ殺菌剤を使用してきましたが、ベルトのプラスチックには問題が出ていません。そこへ突然、別の殺菌剤が使用されます。この新しい殺菌剤は濃度を下げる必要があるのですが、チームはそれに気づかずに高いレベルの濃度で使い続けます。
「クリーナーの実際の化学的性質を少しいじっただけで、洗浄後のベルトの動作が完全に変わってしまう可能性があります」とO’Connorは語ります。
手引きとして、ベルトパートナーの専門知識を活用してください。お客様の環境でシームレスに機能し、信頼性高く動作する材質を推奨する知識と見識を備えています。
搬送品
搬送さ れている製品には何か特徴がありますか?たとえば、お客様の施設で粘着性のある食品を処理しているとしましょう。ある種のポリマーは、乗継ぎ時に搬送品をリリースするのに適しています。この場合には、適切なベルト材質を選択すれば、歩留まりを向上させてキャリーオーバーを削減できます。
同様に、砂糖やコーンミールのような摩耗性成分によって、表面の粗い食品や粒状の食品に耐えるようには作られていないベルトが摩耗して劣化してしまうことがあります。ところが、この種の難易度の高い搬送品にも耐えるように特別に作られた材質も存在します。
どのような場合にも製品が最優先となりますので、コンベアベルト材質の選択時には、それを最優先してください。ベルトは食品と直接接触するものですので、使用する材質の決定には、その物理的性質と化学的性質が重要となります。
指定されたコンベアベルト材質を適切に使用することで、工場はすべてを達成可能です。
次回ベルトを購入する前には、その用途や、領域の環境条件、搬送製品の特質、さらには動作前のベルトの保管方法についても考慮してください。それは有意義な時間となることでしょう。なぜだと思いますか?
性能向上、ベルトの長寿命化、製品歩留まりの向上、メンテナンスの削減、コストダウン、故障の可能性の低減などが、適切なコンベアベルト材質を選択することで期待できるメリットとなります。
食品加工施設で起こり得るすべての問題の中で、ベルト材質の選択がそのうちの1つに対する原因となる必要はありません。工程の初期段階からベルトパートナーと装置メーカーにご相談ください。お客様も含め協力して取り組み、正しい選択ができます。
そうすれば、伝説的発明家であるRon Popeilの言葉を借りれば、「こうしてセットしたら、あとは放っておきましょう」と言えるようになります。
イントラロックスのベルトスペシャリストまでご相談ください。お客様の用途、環境、製品に適したベルト材質をご紹介します。